掟上今日子の遺言書 掟上今日子の退職願 感想
かの日本テレビ土曜ドラマ『掟上今日子の備忘録』のDVD/Blu-ray購入の待ちきれないばかりじゃない。
本放送と並行するかのように読み続けることになった、原作の延長線上にあたる西尾維新の『忘却探偵シリーズ』(講談社)の第4弾と第5弾も...。
まさに、本放送における、続編への期待を抱かさせてしまいそうな内容といったところ、かなあ。
まず、前年2015(平成27)年10月上旬発売の第4弾『掟上今日子の遺言書』では、過去の第3弾までと違って、珍しくも全1話としての構成に...。
中学生がビルから飛び降りた自殺未遂事件現場に居合わせたのは、かの「史上最も運が悪い男」と自虐する青年・隠館厄介。
毎回の生来の冤罪体質が災いし、容疑者とされてしまったことで、かの忘却探偵こと掟上今日子が厄介の疑いを晴らすべく行動する物語が...。
これまで同様の、今日子自身の推理のため、いろんなものを切り捨てたような行動力には爽快感。
と同時に、ほとんど傍若無人というべき捜査ぶりが際立ってしまった反動からか、ちょっとしたペナルティを負ってしまうというほろ苦さが...。
さすがに、現実を実感させることになったのは、いくらか考えさせられてしまって...。
ただ、それを紛らわすかのように、20代半ばの女性が中学校のセーラー服を着こなす姿の想像、つい癒やされてしまった。
次に、同年12月中旬発売の第5弾『掟上今日子の退職願』では、全4話すべてで異なる女性が語り部。
彼女たちそれぞれの内面を通じて、時には比べ、直接問い掛け、"外側"から今日子を映し出すという構成に...。
おなじみの荒唐無稽感は相変わらずも、1,2話の言葉遊びのような逆転の発想は面白くて、語り部らが教訓めいたことを語り、それらと今日子を重ねるやり取りも印象的だった。
ただ、失礼ながら、厄介のいないのが、少々寂しかったかな?
加えて、題名の『退職願』に絡めて、探偵を辞めたくなるほどの嫌でつらいことも、次の日には忘れてしまう。
語弊大ありだけど、この良い意味での"鈍感力"が、好きな仕事を継続させる秘訣なのかもしれないや。
とにかく、第4弾と第5弾ともに、初めての読者でも入り込みやすい、という点で、ありがたかった。
まだまだ続くんだろうなあ。
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