星野源 ライブ ギャク 働く男 そして生活はつづく
ついつい気になってしまうもの...。
この男は一体...。
"働く男"としては、何とも言いようのない不可思議な存在感というものを、否応なく意識してしまうなあ。
1981(昭和56)年1月28日生まれ...。
埼玉県蕨市と言えば、首都圏かつ政令指定都市の近郊を意識してしまいがちだけど....。
本人の生誕間もない当時としては、周りに何もない住宅と赤ちょうちんしかないような田舎の片隅でしかなかったとか...。
それでも、両親ともにジャズでプロを目指していた時期からの家にある大量のレコードの影響の後押しもあるのか、テレビに映るマイケル・ジャクソンの凄いカッコよさに憧れたことで、道が開けたということなんだろうなあ。
自由の森学園中学校1年生から演劇活動と音楽活動を同時並行で開始して、『ニンゲン御破算』参加をきっかけに、あの松尾スズキ主宰の大人計画事務所とは...。
日常生活として、音楽活動として、それぞれの"ライブ"。
日常生活として、NHKコント番組『LIFE! ~人生に捧げるコント~』として、それぞれの"ギャク"。
それぞれの二通りを行き来しているかのような、"働く男"そのもので、"そして生活はつづく"といったところなのかなあ。
ここまでして気になってしまうのは、やはりあの、2月23日日曜日放送のMBSドキュメンタリー番組『情熱大陸』を観て、ついつい気になってしまったことがキッカケかもしれないや。
過去に発売の3枚のアルバム鑑賞と並行する形で、過去にマガジンハウスから出版の4冊のエッセイ集も、時系列に読んでみた。
その4冊とは...。
まず、初めてのエッセイ集である、2009(平成21)年9月中旬発売の『そして生活はつづく』。
携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、人付き合いが苦手でも、誰にでも朝日は昇り、何があっても生活は続いていく。
ならば、そんな素晴らしくない日常を、つまらない生活を面白がろう。
お恥ずかしながら、このコンンセプトにいくらか救われてしまった。
かの『情熱大陸』を観て間もなく、たまたま以前録画済みのテレビ朝日深夜バラエティー番組『タモリ倶楽部』でのエロ男爵(?)を彷彿とさせる言動を目にした反動からか、地味に面白くて、本当にささやかながらも笑いが止まらなかった。
飾らないながらも普通の人とは違う行動パターンは、まさに魅力的。
2013(平成25)年中旬発売の『働く男』は、"歌う""書く""演じる"という仕事を通しての"働く男"・星野源のすべてが一冊に集約。
かねてからのPOPEYEで連載のエッセイはもちろん、自作曲を振り返って解説、手書きコード付き歌詞、出演作の裏側、77の支えてくれるもの、直筆イラスト、心の叫び習字、映画現場潜入とオフショット、衝撃の益荒男写真など、下らなさも真剣さも盛りだくさんの内容。
映画評に比重を置かれがちなものの、独特の視点や味のある文章といい、サービス精神旺盛なんだろうなあ。
特に、表紙の裏には大爆笑してしまった。
さらに、この年2014(平成26)年5月上旬発売の『蘇える変態』。
あの2012(平成24)年末にくも膜下出血で入院、手術後数ヶ月後の復帰、再発後の長期休養が作風に大きく影響しているかのような貴重な一冊。
星野源の2011(平成23)年から2013(平成25)年までの怒涛の3年間を、時系列形式のエッセイも交えたドキュメンタリーそのものだった。
アルバム制作はもとより、テレビドラマ、映画、幻の武道館公演、そしてくも膜下出血からはじまる地獄の日々。
真摯に、丁寧に、その時その時の状況を、気持ちを描いてくれているのが、心の救いであるかのよう。
もちろん、くだらなさと緊張感とエロと哲学などの垣根なしの最大の面白さもあって、かつ魅力ある文体。
そして、同年12月中旬発売の『星野源雑談集(1)』での、「星野源の12人の恐ろしい日本人」とする人たちとの雑談の面白さも...。
4冊ともに、星野源攻略本と言っても過言じゃない。
そして、心が折れそうになった時の、カンフル剤かな?
「おもしろき こともなき世を おもしろく すみなしものは 心なりけり」
江戸時代末期の長州藩士・高杉晋作の辞世に込められた"遊び心"に近いのかなあ。
いや、次元が遥かに大違いだと言われてしまえば、それまでだろうけど...。
明確に言えることは、ただ一つ。
「星野源に幸あれ!」
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