杏 オケ老人! オーケストラ
意外にも、映画初主演だったことには、驚き...。
それは、小説『ちょんまげぷりん』の作家・荒木源氏による同名小説を原作に、映画『ぱいかじ南海作戦』の細川徹監督による映画化作品『オケ老人!』。
物語の始まりは、学生時代からオーケストラでバイオリンを弾いてきた数学教師の千鶴(杏)が、新たに赴任した町・梅が丘の「梅が岡フィルハーモニー」と間違え、老人だらけの「梅が岡交響楽団」に入団してしまったことから...。
歓喜する老人たちを前に誤解を解けないのみならず、オケの演奏は予想以上に壊滅的で、ついに千鶴が指揮棒を振ることになってしまって...。
ほかの出演者も見逃せないや。
千鶴が密かに恋心を寄せる同僚・坂下には、坂口健太郎。
千鶴が数学を教える生徒・和音には、黒島結菜。
ライバルオーケストラ「梅が岡フィルハーモニー」のコンサートマスターには、光石研。
「梅が岡交響楽団」の楽団員には、笹野高史、小松政夫らベテランキャスト陣。
杏としては、原作同様に、キャストにせよスタッフにせよ、大先輩方のあまりの多さゆえ、相当飛ばしていく勢いがいつ途切れてしまうのか、少々不安だったものの、気負いなくのびのびと乗り切ることができたと感謝の気持ちいっぱいに。
そして、人と人との絆が着々と根を張って、ひとつの花を咲かせることができたという実感も...。
それらが込められた作品の仕上がり、待ちきれなくなってきた。
かの原作とは、2010(平成22)年12月上旬に小学館文庫より発売された同名小説。
タイトルの面白さに惹かれて、読んでみたところ、30代半ばの高校の男性数学教師・中島が主人公という違いはあれど、「参加することに意義あり」のオリンピック精神と、「アマチュアであっても技術向上のための競争原理も必要」というスポーツや吹奏楽の世界での、古くから伝えられる永遠のテーマには、考えさせられるものが...。
ごく普通の日本人たちとロシア人指揮者や背後に暗躍する諜報機関(?)まで絡んで繰り広げられる奇想天外な物語の面白おかしさはあるものの、作者自身オケ経験者(バイオリン?)と断言できるくらいに、場面描写にはリアリティがあふれていて...。
一気に読み切れる心地良さの反面、投げかけているテーマは案外大きかったなあ。
いずれにせよ、公開となるこの年2016(平成28)年秋頃には、胎教または子育てにふさわしいBGMになるのかもしれない???
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